芸術の秋。(もう冬ですが…行ったのは11月なので滑り込みということで。)
コロナ禍以降、大好きな舞台鑑賞に行けていなかったのですが、行かないことになれると今度はチケットを取るのが億劫になってしまいました。
このままだと足が遠のく一方だと思い立ち、家にあったVisaから送られてくる定刊誌をぱらぱら。
後ろの方にチケットぴあのページがあります。
あ、これなんかいいんじゃない?
会場も都内で近いし…と予約したのは高嶋ちさ子さんのコンサート!
2ヶ月ほど前から楽しみにしていたコンサートに先週末とうとう行ってきました。
クラシック初心者が心から楽しめる出し物
高嶋ちさ子さんといえば言わずもがな、超有名なバイオリニスト。
そんな有名な方のコンサートに行けることが楽しみな半面、クラシック超初心者の私は最後まで寝ずにいられるだろうかと一抹の不安もありました。
というのも学生の時、同級生が当時全国コンクールの優勝を果たしていてリサイタルに呼んでいただいたことがあったのですが当時の私には猫に小判だったらしく…。
その経験からクラシックは敬遠していたのが事実。
開演前は一緒についてきてもらった夫にも「寝たら寝たでしかたがないよね」みたいなことを話していました。
観客はご年配の方から小学生まで幅広く、意外にも子どもが多かった印象です。
10歳にもなっていない男の子たちが座って2時間も聞いてられるのか不思議に思っていたのですが、この心配はコンサート後、全くの見当違いだったとわかります。
さて、小見出しに「出し物」と書きましたがこれはちさ子さんご本人がおっしゃっていた表現です。
本当にね、出し物だったかもしれない…(笑)。
耳に聞こえてくる曲は美しくて素晴らしい一方で目に入るのは笑いを誘うパフォーマンス。
そして大爆笑のトークの数々です。
ちさ子さんがコンサートで守っていることは2つ。
一つ、誰もが知っている有名な曲しか演奏しない
一つ、一曲5分まで
私は超初心者だったので知らない曲もあったのですが、それでもカノンにはじまりアイネクライネ、威風堂々、天国と地獄…と言った有名な曲をふんだんに演奏してくださったので十分楽しめました。
曲と曲の間のトークはちさ子節炸裂です(笑)。
テレビで見る、あのままです。
あのトークの感じでそれぞれの楽器の紹介もしてくれるのでとてもわかりやすく、楽器に興味を持つきっかけにもなります。
ピアノクインテット~キャラの濃い4人の男組~
聞きに行ったのはピアノクインテットと呼ばれるピアノ一人に四重奏の弦楽器。
ちさ子さん以外の4人は男性だったのですけどまたこの4人のキャラが濃くて。
バイオリンコンサートのはずがコントというか、新喜劇を見ているみたいなんです。
セグウェイに乗りながらチェロで『くまんばちの飛行』を演奏したり(体幹すごい…)
『千の風になって』を歌いながらヴィオラを弾いたり(歌いながら弾くって相当難しいらしいです)
チューチュートレインしながら天国と地獄を演奏したり。
こんなくだらないこと練習時間をものすごくかけているってちさ子さんが笑い飛ばしていましたけど、そこが逆にいいんです!
会場は拍手喝采でした。
色々な”出し物”がありましたが私が最も感激したのはピアノの伊賀拓郎さんです。
観客からリクエストされたルパン3世をちさ子さんの指示通りにアレンジを加えて弾いていくのですが「天才アレンジャー」と言われているだけあって圧巻でした。
「バーでやる気なく弾いていたらすっごい美女が店に来て、俄然やる気を出して弾いたんだけどその美女が別の男性と連れ立って店を出て行ったってのをピアノで表現して」とちさ子さん。
無茶振りだな~と思っていたら伊賀氏、本当にその一連の流れを一曲に込めてありありとイメージできるようなアレンジを加えます。
「じゃあ次、シャンソン風」からはじまって中東アラブ風、中国風、日本帰国で演歌風と今度は次々国のイメージをちさ子さんが指示します。
すると即興で「それっぽい」アレンジでルパンを弾き分ける伊賀さん。
もちろん、アレンジからアレンジへの以降中も一度も手を止めることはありません。
うわ~表現の極みだ!ってものすごく感動しました。
最後のルパン三世演歌風のときには観客全員の頭にはサブちゃんと日本海の水しぶきがあったはず。
みんなで手拍子をしながら笑いと感動でとても面白かったです。
私も作品でこんなストーリ組めたら面白いなぁなんて思ってしまいます。
あえて見せる下手さ、見せない努力
自粛期間中にあえて自分の本職とは違う楽器に手を出したというちさ子さんと男組。
その本職とは違う楽器で演奏した曲もありました。
これはチケット代に入っていませんので!とちさ子さんおっしゃていましたが、そう言っておかなくてはという気持ちもわかるような演奏でした(笑)。
バイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノ。
それぞれの超一流の人たちでも楽器が違えば私達とあまり変わらないんだ!っていう親近感。
舞台に立つ人ってきらびやかで何でもできる完ぺきなスーパーマンのように思いがちだけど、彼らも人だということを思い出させてくれる一面です。
その一方でとてもストイックな練習を積んできている事実。
さらっと「耳コピ10年やったら大体の曲なんでも弾けます」とか
「毎日2時間1日も欠かさず練習を、20年もやればまぁ」みたいなこと皆さん普通におっしゃってました。
特にちさ子さんはバイオリンだけでなくてプロポーションにもすごく気を使っていることがわかります。
全然二の腕揺れてなかった!
プロ意識でどれだけ忙しくてもしっかり鍛えているんだろうな~。
クラシック音楽が身近になった一日
最初は心配していましたが、いざコンサートが始まってしまうと子どもを連れてきたのにも納得。
男の子たちも退屈させないステージで、あっという間の2時間でした。
正統派のクラシックコンサートじゃないかもしれないですが、私のような初心者には大変有り難く、格式高いクラシック曲の数々が一気に身近に感じられた一日でした。
1,000人以上入る会場を満員にさせてしまう高嶋ちさ子さんの力量もさすが。
溢れ出てくるエネルギーを全身で浴びさせてくださいました。
そしてなんとちさ子さん、この翌日は愛知でコンサート。
official site覗くと毎週末どこかでコンサートされてます。
テレビにも出て、この方のパワーはすごいなとびっくりしました。
舞台はやっぱり生がいいなぁと、改めて思ったのと同時に、自分を表現するって素晴らしいことだなと思わされるコンサート。
是非ご興味ある方、一度行ってみてください。
ピアノクインテットはチケット代もS席で4,500円と大変良心的でした。
とってもおすすめのコンサートです♪